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甦る歴史ある建物 ノコギリ屋根工場

甦る歴史ある建物
ノコギリ屋根工場

甦る歴史ある建物 ノコギリ屋根工場

ノコギリの歯の形のように山型の屋根が連を成している屋根構造を「ノコギリ屋根」といいます。
特長のあるノコギリ屋根ですが主に織物工場として明治16年から日本各地で建設されましたが、建物の老朽化や社会情勢によりその数は減少してきました。

その中で、明治・大正・昭和初期に建設されたノコギリ屋根工場が未だに数多く残されているのが群馬県桐生市です。

構造の利点と造形的にも珍しくレトロ感漂うノコギリ屋根工場は、観光資源としても市内外から再注目されているようです。

ノコギリ屋根工場の成り立ち

ノコギリ屋根工場の成り立ち

ノコギリ屋根工場の成り立ち

ノコギリ屋根の工場が生まれたのはイギリスです。イギリスの産業革命期に繊維産業が発達し、織物工場や染色工場を建設する上で重要なのが「採光」でした。

糸や生地の色合いや柄の確認、布の繊維組織の保護や織物の日焼けによる色あせを防ぐためには、変動の少ない一定の明るさの採光が必要でした。

ノコギリ屋根は窓ガラスのある短辺部分を北向きに設計することにより強すぎない自然光を取り入れ、日中の工場内を均一な明るさで保つ事ができる採光に優れた構造なので、多くの繊維産業の工場に採用されました。

日本では明治16年にイギリス帰りの技術者 山邉丈夫の指導により初めて、大阪紡績三軒屋工場がノコギリ屋根を取り入れて建設され、その後、全国各地の繊維を取り扱う工場の建物として次々に建設されたのでした。

桐生市のノコギリ屋根工場の歴史

桐生市のノコギリ屋根工場の歴史

桐生市のノコギリ屋根工場の歴史

かつて養蚕が盛んであった群馬県では製糸・織物で栄え、群馬県桐生市では「桐生織」の絹織物が特産品でした。その歴史は古く、起源は奈良時代まで遡ります。

「桐生織」は『西の西陣、東の桐生』と称されるほど高級絹織物として重宝されてきました。

「桐生織」には御召織(おめしおり)、緯錦織(よこにしきおり)、経錦織(たてにしきおり)、風通織(ふうつうおり)、浮経織(うきたており)、経絣紋織(たてかすりもんおり)、綟り織(もじりおり)の七技法があります。
2008年2月1日には桐生織物協同組合の地域団体商標に「桐生織」が登録され、伝統工芸として桐生織の技術が伝承され守られています。

明治から昭和初期にかけては生糸の輸出が日本の経済を支えていたので、養蚕で栄えていた群馬県では桐生市を含め近郊各所にノコギリ屋根工場が数多く建設されました。
しかし、近年においては日本国内の繊維産業の不況により廃業や工場の老朽化で、ノコギリ屋根工場が取り壊されていったのでした。

ノコギリ屋根工場が減少していく中、桐生市には200棟以上が現存しています。なぜ、桐生市には未だに多くのノコギリ屋根工場が残っているのでしょうか?

生糸の輸出が盛んだったころ昭和初期には「桐生織」が輸出向け織物として、商工省輸出絹織物検査所で検査に合格し信頼度が高まり海外での販路拡大につながった事や、近年においては炭素繊維などの最先端科学技術を導入した新製品が映画やドラマの衣装として使用されるなど、時代の変化に伴いながらブランディングの確立に繋げてきたため桐生市の織物産業が残されてきたことにあります。

また、太平洋戦争や第二次世界大戦では全国各地に空襲が落とされ多くの建物が焼失し、群馬県も例外ではありませんでした。
しかし、桐生市に落とされた空襲は少なく焼失面積がほとんどなかったことにより、奇跡的にも歴史ある建物が現存しているのです。

■参照:桐生織|ウィキペディア
■参照:群馬県の空襲被害データ|未来に残す 戦争の記憶

桐生市に残るノコギリ屋根工場の保存と街並みづくり

桐生市に残る
ノコギリ屋根工場の保存と
街並みづくり

現存しているノコギリ屋根工場は現在も織物工場として使用されているところもありますが、使用されていない工場も数多くありました。

建築物は使用していないと傷みやがて破砕してしまいます。このままでは取り壊されてしまう危機にあったノコギリ屋根工場を、市民・商工会議所・行政が保存する取組みに動き出しました。

市民からしたら見慣れた風景の一部であった古ぼけたノコギリ屋根工場は、外の人から見たら魅力的で歴史的にも貴重な建造物だったことに気づいたのです。

現在では近代遺産であるノコギリ屋根工場を国登録有形文化財に登録し、解体危機にあった空き工場は清掃や補修による保存や工場の所有者と借り手のネットワークづくりなど市民・商工会議所・行政が一丸となって歴史的な街並みづくりの活動が行われています。

空き工場はさまざまな形で利用されているようです。

【ベーカリーカフェにリノベーション】

ベーガリーカフェ レンガ様01 ベーガリーカフェ レンガ様02
ベーガリーカフェ レンガ様03
ベーガリーカフェ レンガ様04 ベーガリーカフェ レンガ様05

◆ベーガリーカフェ レンガ様

【芸術家のアトリエとして利用】

工房・金田丸岡平様01 工房・金田丸岡平様02

◆工房・金田丸岡平様

【ワイン貯蔵庫として利用】

金井屋ワイン貯蔵庫様01 金井屋ワイン貯蔵庫様02

◆金井屋ワイン貯蔵庫様

【豆腐店としてリノベーション】

とうふと京風ゆば料理 若宮様01 とうふと京風ゆば料理 若宮様02

◆とうふと京風ゆば料理 若宮様

【ギャラリーとしてリノベーション】

ギャラリーのこぎり様01

◆ギャラリーのこぎり様

現在も繊維産業関係の工場のまま保存されていたり、活躍している工場もあります。

金子織物株式会社旧鋸屋根工場様01 金子織物株式会社旧鋸屋根工場様02

◆金子織物株式会社旧鋸屋根工場様

須裁織物工場様01 須裁織物工場様02

◆須裁織物工場様

株式会社大塚商店様01 株式会社大塚商店様02

◆株式会社大塚商店様

株岡村織物様01

◆岡村織物工場様

旧藤計織物様01

◆旧藤計織物様

廃工場01 廃工場02


■参照:近代化を支えたノコギリ屋根工場が紡ぐ新たな活力|群馬県桐生市
■参照:市内ノコギリ屋根工場一覧|桐生市

甦る歴史ある建物 ノコギリ屋根工場 まとめ

甦る歴史ある建物
ノコギリ屋根工場 まとめ

甦る歴史ある建物 ノコギリ屋根工場 まとめ

日本の古い建造物は鉄骨造りのものは少なく、ほとんどが木造・煉瓦造・石造でできているため風化しやすく自然災害にも弱く焼失・崩壊していまうなどし失われてきました。
また、都市開発により人為的に取り壊されるなど、明治から昭和初期の建造物が残っていることは奇跡に近いことです。

群馬県桐生市にはノコギリ屋根工場の他にも明治から昭和初期にかけて建てられた建造物が数多く残っています。
その多くは桐生市指定文化財や国登録文化財に登録されています。
桐生市の土地柄・風土があったからこそ貴重な建造物が残っているのでしょう。

タイムトリップしたかのような不思議な魅力のある桐生市です。カメラを片手に歴史ある建物を探しながら散策してみてはいかがでしょうか?

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